私の雑記帳

昔、チェロを習っていた先生に、「先生の目標は何でしょうか」と伺ったことがあります。
それは、我々生徒も含め、どのチェリストが好きかという話題で盛り上がった時です。
先生は、少し空を見ながら考えて、「いい音を出したい。いい音への憧れ、かな」と。
その先生は、若い先生で、チェリストの現役を続けています。
現役の先生でも、そうなんだ、と感慨が深いものがありました。

昨年1年、オーケストラの団体でモーツアルトを懸命に練習し、私は演奏会の舞台にも立てました。
でも、内心、「かなり弾き方が荒れたな・・・」と感じました。
やはり、素人の無理だったのでしょう、曲の速度についていくために、左指のポジション、右手の弓の操作がかなりいい加減になったことをヒシヒシと感じていました。
ええ、その状態では、「いい音」どころではありません。
流れについていくこと、大きなミスをしないことが最優先です。
音程もいい加減、弓のタッチも隣の弦にも触れるくらい粗い動きでした。

演奏会も終わり、冷静になったある日、先生のこの言葉を思い出しました。
もう一度やり直そう、と考えた瞬間でした。
最初の原点、チェロのあの深い落ちついた音に「憧れて」習い始めたことを。

ときあたかも、フェースブックであのYO-YO-MA が森の中でバッハを弾く場面を目にしました。
ああ、いいなー。
私も更に歳をとったとき、一人になったとき、自分だけの時を過ごすときに、
自分の納得できる「音」を持っていたら素敵ですね。

「いい音」でチェロを弾くために一層一人の練習に励むことを誓ったこの頃です。
 
以上
 gakufu a