私は自分の所属するアンサンブル練習に少し早めに練習会場に来て、
オーケストラの練習を聴講しています。
その理由は、自分の音楽習得の耳の訓練もありますが、それと同等以上に、
自分の知らないクラシック曲を「知る」楽しさがあるからです。
いま、オケの練習は、ベートーベン作曲の
交響曲1番です。
ベートーベンは、3番、5番、7番、9番は何度も聞いていまが、この1番はよく知りませんでした。
そうです、音楽の初心者である私は、世にいう「超有名な曲」しかこれまで聞いたことがないからです。
面白いと思ったことは、
指揮者の言葉、つまり
奏者への曲解説があります。
「この曲は、最初のここはほとんどモーツアルトです!そう思って弾いてください。」
(これは私が聞いた指揮者の意訳です。指揮者がこのとおりに言ったわけではありません。念のため)
2楽章に入ると、
「徐々にベートベンらしい曲調になり、このあたりは彼の初期の気負いです」
さすがベテランの指揮者は、何回も振っているのか、曲の理解が深いと思いました。
事実、
モーツアルトは1756~1791年、
ベートーベンは1732~1827年。
モーツアルトは35歳の短命ですが、ベートーベンとは20年ほどの重なりがあります。
ヨーロッパで人気を博すモーツアルトの最後の年では、ベートーベンは若干20歳です。
ベートーベンが先人の曲に大いに影響を受けるのは、もっともです。
流行りの曲調を取り入れ、その上に自分の曲の思想を描くのは、在り得うべきことです。
(1796年ころから、最初の交響曲の作曲に着手といわれています)
ベートーベンの人としての息遣いが伝わってきます。
アンサンブルでは、
グリーグの曲 ーペールギュント、ホルベアの時代ー も取り上げています。
グリーグは、東欧ルーマニアに長く留学した指揮者が好きな民族派の作曲家です。
民衆の踊りの曲を取り入れた曲は、日本人も馴染みやすい調べと言います。
踊りの3拍の調べも、アクセントは2,3泊目にあり、日本的な1拍目アクセントとの違いを解説します。
練習中の指揮者の曲解説は、とても私には勉強になります。
家で単にCDから完成品を聞いているよりも、ズーと曲への理解が深まります。
そして、その曲が好きになります。
その上、その曲を弾いているのですから!
こうして書くと、昔を思い出します。
もう20数年も前になりますが、当時市民による
「第九」を歌う演奏会に参加したことがあります。
バスに参加しましたが、一番の印象は、大学の先生によるこの歌詞の解説でした。
あたかも見てきたように、この第九の歌詞(ドイツ語でしたが)と曲調の熱弁に引き込まれました。
恐らく大学の授業でもそうなんでしょうね。
本番の舞台での壮大な合唱に涙が浮かんだのも、いまでも鮮明に思い出せます。
堅いと言われるクラシック曲も、こうしてその時代の背景、作曲者の気持ちなどが分かると、
一度にその曲が好きになります。 物語があるからです。
立体的な理解と言ったほうがいいでしょう。
こうして、老いた身ながら、一曲一曲クラシックのこの膨大な遺産を好きになる階段をいま登っています。
音楽って素晴らしい!
以上