これは、大変面白い本でした。

ええ、そうです、「のだめカンタンビーレ」の放映で一躍有名になった茂木大輔さんの著書です。
茂木さんは、ご自身オーボエ奏者であり、N響の首席オーボエ奏者も務めた実力者ですね。
彼のこの作品を書いた動機は、オーケストラはとにかく、強い個性のある、この楽器だけは
誰にも負けない人の集団だ。多様で多才な集団である。
「演奏しているうちにその楽器からドンドン影響を受ける」ということもあるが、
「そもそもそういう性格だから、そういう楽器を選んだ」、ということもある。
では、どんな楽器がどんな性格を生み、どんな人がどんな楽器を選ぶのだろうか。
そんな目でメンバーを観察すると、意外なものが見えてきた、という本です。
その構成は、
1章 楽器選択運命論
2章 楽器別人格形成論
3章 オケマンとはどんなヒトか
4章 楽器とヒトとの不思議な関係
彼の独断と偏見の論が愉快で、結構当たっていそうな論です。
ちなみに、私のチェロを選んだ性格は、
頼まれるとイヤといえないお人好しで、些事は人任せ、なにより温暖で居心地の良い人である。
低音楽器の性格として、深みのある音域を担当することは、日常においても、表面に出ず、
より深い本質を追求する姿勢の持ち主と見える。
「包容力とバランス感覚に優れた揺らぎのない人間性」 ・・・だって!
そんなに褒めていただき恐縮です。
ちなみに、バイオリンは「陰影に富んだユニバーサルの人」
ヴィオラは、「しぶく、しぶとく、待ちに強いひと」
コントラバスは、「泰然自若、唯我独尊の人」
その他、オーケストラを構成する楽器の人間観察がほとんど書かれています。
参考:「オーケストラ 楽器別人間学」 著者 茂木大輔 新潮文庫
以上